池澤夏樹「北海道１５０年」を歩く（３） – 朝日新聞社

それを思い出しながらひんやりとした夕張の地下を歩いた。その一方で石炭の恩恵を思った。一九四五年に帯広に生まれたぼくにとって石炭は冬の生活の中心にあるものだった。晩秋に馬車で配達される一トンの石炭の量感が長い冬を予想させた。正月明けの追加の一トンは雪 ...